選考先の法律事務所の「種類」を把握する
面接対策を行う上で一番重要なのは、「選考先の特徴を把握すること」です。
なぜなら、選考先の特徴によって面接の受け答えや志望動機の内容は異なるからです。
例えば応募先が「企業法務を扱う法律事務所」なら、企業法務に携わりたい理由や背景を語れるようにしなければなりません。
一般的に「法律事務所」の種類は下記の通りです。あなたが受ける法律事務所の種類は、下記のうちどれでしょうか?
- 5大法律事務所
- 一般民事・刑事事件を扱う大手事務所
- 企業法務を扱う大手事務所
- 一般民事・刑事事件を扱う中・小規模事務所
- 企業法務を扱う中・小規模事務所
- 外資系法律事務所
今ここで改めて、あなたの志望先の特徴を整理してから読み進めてください。
ちなみに下記の記事では、書類選考や面接選考を突破するための「志望動機の書き方やポイント」についてまとめていますので、あわせてお読みください。
またこちらの記事は事務所の種類や違いについて詳しくまとめていますので、詳細を把握したい方はご覧ください。
面接前にやっておくべきこと
また、面接前にやっておくべきことを解説しておきます。
以下の行動をしておくことで、内定の可能性はグッと上がります。
説明会に参加する
弁護士会や法律事務所から事務所説明会がいくつも開催されていますので、参加を推奨します。
ここでの説明会参加のメリットは、事務所の説明が受けられるだけではありません。
現在活躍している先輩弁護士と交流できることが非常に大きいのです。
説明会での交流がきっかけで、採用につながるケースも少なくありません。
説明会に参加せずとも選考は受けられますが、参加することで得られる恩恵は大きいので、積極的に参加しましょう。
事務所訪問する
応募したい法律事務所に、事前に見学や訪問ができるかどうか聞いてみると良いでしょう。
実際の職場を目にすることで得られる情報があることに加え、あなたの本気度が伝わる機会にもなります。
訪問できるかどうか尋ねること自体もあなたの関心ある姿勢が伝わるので、気になる応募先の職場は可能であれば訪問しましょう。
ちなみに転職エージェントを利用すると、スムーズに職場見学の申し込みができます。
弊社リーガルジョブボードは弁護士専門の転職エージェントサービスを提供しているので、もしご興味がありましたらお気軽にご連絡くださいませ。
事務所訪問にちなんで、注意点があります。
それは、事務所によりますが、エントリーするために事務所訪問が「必須」であるところがあるという点です。
中には、事務所訪問に参加していないと選考に進めないとしている事務所も。
特に、事務所訪問を必須としているのは5大法律事務所など、大手と言われる法律事務所です。
日時については、各事務所のホームページなどで発表されていますので、大手事務所希望の方はチェックを忘れないようにしましょう。
法律事務所の採用の流れを知っておく
面接選考を受ける上で、応募から内定までの流れも把握しておきましょう。
実は弁護士の場合、他の職種とほんの少しだけ異なる点があります。
エントリーから採用までの流れは下記の通りです。
①書類選考
↓
②一次面接
↓
③二次面接→会食
↓
④採用
法律事務所の面接の特徴として、採用になるまでに「会食の場を設けることが多い」です。
それは、求職者の人柄を見ることや、双方のマッチング度を見定める目的・意図があるからです。
書類選考の時点で、ある程度採用できるスキルかどうかは見極められていることがほとんどで、面接や会食はその求職者の人間性を見ていることが多いです。
また、弁護士業界はリファラル採用が多く、その場合は面接がなく、会食で話をして採用に至るケースもあります。
リファラル採用であったり、そもそも弁護士は人の本質をみる職業であるからか、適性検査はないことが多い印象です。
その分、面接や会食での受け答えに注意が必要で、準備が重要になります。
法律事務所の面接でよく聞かれる質問
それでは面接対策の解説に移ります。
まずは「法律事務所でよく聞かれる質問」についてまとめるので、目を通しておきましょう。
面接では、人間性や経験値に加え、「どのような形で事務所に貢献してくれるのか」を見ています。
そのため、あなたが「経験者」か「未経験者」かによって、質問の内容は変わります。
スキルや経験が違うため、面接での質問も変わってくるということです。
「経験者」がよく聞かれる質問集
まずは、弁護士の「経験者」がよく聞かれる質問からまとめます。
経験者の面接は、未経験者に比べ「時間は短めの傾向」です。
経験してきた業務からどのくらいのスキルを持っているかがわかりやすいためです。
経験者が法律事務所の面接でよくされる質問は下記の通りです。
よく聞かれる質問①転職理由
転職理由はほぼ確実に聞かれますし、お話の流れで自ら語ることになるのは間違いないです。
必ず言語化できるよう、事前に整理しておきましょう。
以下のポイントを切り口に整理すると、言語化しやすいです。
- どうしてやめるのか
- 今の職場ではその理由は改善されないのか
- 改善するためにどのようなアクションを起こしたのか
- アクションを起こしても改善できなかったのはどうしてなのか
以上4点を踏まえることで、納得性・説得性の高い転職理由を語れるようになります。
携帯のメモ帳やノートに、綺麗にまとめた転職理由をまとめ、自分の言葉でスムーズに話せるよう復唱することを推奨します。
よく聞かれる質問②今までの実務経験内容
これまで経験した実務や身についているスキルも、必ず聞かれます。
漏れのないよう、あなたのスキルセットの棚卸しを事前に行っておきましょう。
この質問にどれだけ深く語れるかによって、あなたの素質が見極められます。
また、スキルは専門性だけではありません。
人間性や性格・思考力なども立派なスキルです。それらをアピールできるエピソード・経験もあれば、一緒に語れるようにしましょう。
よく聞かれる質問③将来のキャリアプラン
将来のキャリアプランについても聞かれることがあります。
「どんな弁護士になりたいのか?」
「どういう弁護士像を描いているか?」
といった質問で聞かれるため、こちらも言語化できるよう準備しましょう。
例文は下記のようになります。
「将来は、パートナー弁護士としてプレーヤーとしてだけではなくアソシエイトの指導も行い社会貢献をしたいと考えています。貴所は、パートナー制度を設けており、パートナーや独立を目指す弁護士を支援する体制があり魅力に感じています。」
よく聞かれる質問④この事務所でなければいけない理由
この事務所でなければいけない理由も質問されることがあります。
これは、志望動機の中に盛り込んでいる方が多いと思います。
他の事務所や企業ではなく、あくまでその志望先がベストなのだということが伝われば、採用される可能性もグッと上がります。
- 事業内容
- 働き方
- 事務所(企業)の規模
- 業務内容
など、何かしらの切り口において「その選考先がベストである理由」を語れるようにしましょう。
よく聞かれる質問⑤志望動機・自己PR
こちらの記事で、志望動機の作り方についてお話ししていますのでぜひ参考にしてください。
よく聞かれる質問⑥希望年収
希望年収を聞かれたら、いくらぐらいを回答していいのか迷われる方が結構いらっしゃいます。
基本的には、現職と同額か高めで設定しましょう。
しかし、採用側が想定している以上の金額を言うと、落とされてしまう可能性もあります。
なので、注意が必要なのは、求人票や募集要項に記載されている想定年収の範囲内で提示すること。
年収相場がわからない方や、希望年収が叶うかどうか知りたい方は、転職エージェントへご相談ください。
スキルや経験からお調べすることが可能です。
また、希望の年収に近づけたい、事務所側と年収を交渉をしたいというときにも転職エージェントが代わりに交渉することができます。
よく聞かれる質問⑦クライアントの数
クライアント数は、先方が気にしているポイントの一つです。
どれだけ事務所に貢献してくれるのか、売上を上げてくれるのかをはかるのにクライアント数はわかりやすい基準になります。
多ければいいという話でもありませんので、嘘が無いように話しましょう。
「未経験者(司法修習生)」がよく聞かれる質問集
続いて「未経験者」がよく聞かれる質問について解説します。
未経験者の面接は、経験者よりも「長くなる傾向」です。
「スキル(ポテンシャル)」や「弁護士の素質」を見極めるのが、未経験者ゆえに難しく慎重になる必要があるからです。
未経験者の場合、特に人間性や特性などを見ていることがほとんど。
未経験の若手を求めている法律事務所は、謙虚さがあり、真面目な人物です。
驕らず、誠実さをもって面接に挑むことをより一層意識してみてください。
では、未経験者がよく聞かれる質問をまとめます。
よくある質問①大学で学んだこと・活動
採用側が大学で学んだことを聞くのは、この事務所でどのように活躍してくれるのかを考えるためです。
大学で学んだことを伝えながら、自分がどんな人物なのかをアピールします。
構成は下記の通りです。
- 何を学んだのか
- 学んだことの詳細
- どんな結果がでたのか
- 結果からどう感じたのか
例文
「大学のゼミでは、実際の判例をもとに学生同士で討論を行いました。討論には法律の条文や相手の発言への理解が必要で、それをなくしては公平な契約成立につなげることは出来ないと考えています。」
よくある質問②弁護士を志す理由
弁護士を目指したのはどうしてか、という質問もございます。
例えば、「冤罪事件や公害訴訟などでの弁護士の活躍をドキュメンタリーでみて、困っている人を助けたい。多くの人を助ける可能性を秘めている弁護士を目指そうと思いました。」
上記のような方は多くいらっしゃいます。
特別なエピソードがなくてもかまいませんので、弁護士になるきっかけを話しましょう。
よくある質問③長所・短所
他の業種でもよく聞かれる長所と短所です。
長所は、自身の性格や実績についてアピールできることを話します。
短所で注意したいのは、言い換えれば長所になることや直すために注意していることなども合わせて話すようにしましょう。
例えば、「考えてしまう性格」が短所であれば「慎重に考えることが大切と思っていますが、考えすぎ行動が遅くならないように、仕事は前倒して段取りをしています。」といえば、仕事が滞らないよう対応できる人物だと好印象を与えられます。
よくある質問④志望動機・自己PR
こちらの記事で、志望動機の作り方についてお話ししていますのでぜひ参考にしてください。
よくある質問⑤模擬裁判で困難に陥った点
司法修習での模擬裁判の中で、あなたがつまづいた点・難しいと感じた点について聞かれることがあります。
模擬裁判では、裁判官・検察官・弁護士のチームに分かれ裁判を進めていきます。
自分がどの立場で、どの様な場面で大変と感じたのかを話します。
例文として「模擬裁判では、弁護士チームに加わり答弁を行いました。弁護士側にとって不利な内容で、相手の答弁にうまく返せず困ったことがありました。裁判は法律の条文を理解しているだけではなく、相手の発言の意図や理解を理解することが必要と強く感じました。」
面接で聞くべき質問(逆質問)
上記では、よく質問される項目についてご紹介しました。
ここからは、面接時に「質問はありますか?」と聞かれた際に質問すべき項目をまとめておきます。
業務のフローについて
業務フローについて質問すると、その事務所がどのくらい忙しいのか、どういった働き方を弁護士はしているのかが把握できます。
例えば、
「一つの案件に対して何人で対応しているか」
という質問であれば、どのくらいの規模の案件が多いのかがある程度分かりますし、
「業務分野やクライアント層、その業務にあたっているのは誰なのか」
という質問であれば、自分がどのような仕事を任されるのかが予想できます。
実際、入る前に質問できておらず、『海外案件に携わりたいと思って入社したけど、海外案件は所長が全部担当していた』といったケースもあります。
業務に関することで気になることがあれば質問しておくと、入社後ミスマッチすることが少なく安心して働けます。
事務所の体制や制度について
事務所の体制や制度について気になることがあれば質問してください。
特に、弁護士は将来的に独立やパートナーといった道を選択する方も多いです。
事務所によっては、アソシエイトからパートナーへとなる方もいます。
例えば、事務所にパートナーになれる制度があれば
「アソシエイトからパートナーになる条件は?平均的に何年働いてパートナーになる人が多いか」
という質問をすると将来的なキャリアプランが立てやすいでしょう。
独立志向がある方は、
「新規営業活動をやっていいのか、やっている先輩はいるのか」
というところが気になると思います。
事務所側も、独立志向が強い職種であるのは理解していますので、そのような質問をしても悪い印象にはならないことがほとんどです。
面接で気を付けること
弁護士が法律事務所の面接で気を付けることを下記では解説していきます。
どれだけ論理的に話せるか
弁護士は、クライアントの問題に対して論理的に物事を考えかいけつしていかなければいけません。
そのため、面接ではどれだけ論理的な思考をもち話しをできるかがとても重要です。
上記で話したような「どうして辞めるのか、今の事務所ではなぜそれができないのか」など、面接では採用側が納得するまで、根掘り葉掘り質問される場合もあります。
面接官は、所長や先輩弁護士の方々です。
そのベテラン弁護士たちが、納得するような理由があった上の答えが出せなければ、弁護士として認められません。
面接前には、上記でお話ししたような様々な質問にすべてこたえられるようにしっかり言語化しておきましょう。
誠実さ、謙虚さが出ているかどうか
弁護士に対して、問題を抱えたクライアントは「この弁護士に任せて大丈夫かな?」と不安をもって相談にきます。
その問題を親身になって解決してくれる誠実さは、クライアントを安心させるためにも弁護士として必要な要素の一つ。
誠実さや謙虚さも面接で見られているポイントです。
それをアピールするためには、下記のことを気をつけましょう。
- 話すとき、上からの発言になっていないか注意する
- 先方が話しているときは、真剣に聞く
- 話す相手によって態度を変えない
身だしなみやあいさつがしっかりできるのか
清潔感のある身だしなみや(シャツやスーツがキレイか、前髪が顔にかかっていないかなど)あいさつができるかなど、当たり前のことがしっかりできるように心がけておきましょう。
できて当たり前ですので、もしあいさつができない、服装に清潔感がなければ、悪目立ちしてしまいます。
面接で家を出る前や、法律事務所を訪問する前には必ず鏡でチェックして、人前にでても恥ずかしくないかどうかを確認しましょう。
オンライン面接について
コロナ過で、オンライン面接は増え定番になりました。
オンライン面接では、受け答えなどの準備をするだけでなく環境面などの準備はとても大切です。
オンライン面接では下記に気を付けていただきたいです。
スマホよりPCの使用がおすすめ
スマホは手振れや倒れることがあるので、安定して使用できるパソコンでの面接がおすすめです。
また、スマホは思っているより小さく映ってしまい表情が見えづらいことがあるので注意が必要です。
更に、パソコンに搭載されているマイクを使用するのではなく、マイク付きのイヤホンを準備することを推奨しています。
それは、搭載されているマイクやスピーカーの利用は、音を反響させてしまったり声が拾いづらい心配があるためです。
使用するツールが入っているか、正常に繋がるかを事前にチェック
事前にZoomやGoogle meetなど、どのツールを使用して面接を行うかを知らされます。
面接までにアプリをダウンロードし、通常に使用できるかをチェックしましょう。
事前準備が甘く開始が遅れてしまった場合、印象を落としてしまう可能性が高いです。
オンラインでのやり取りが苦手と思われるのは、現代においてかなりマイナスになってしまいますので、必ずチェックをしておきましょう。
面接に集中できる環境づくり
ペットは違う部屋に連れて行ったり、お子様のいないタイミングで調整するなどして集中して面接を行える環境をつくりましょう。
また、宅配が来ないように時間指定をするなどをして注意が必要です。
もし、宅配などで家のチャイムが鳴ってしまった場合、相手側が「大丈夫ですか?出ても大丈夫ですよ。」など一言あるまでは対応しないようにしましょう。
対面時よりリアクションは大きめに
対面と比べるとオンライン上では、相手の表情もこちらの表情もわかりづらかったり、コミュニケーションがとりづらかったりします。
そのため、いつもより少し大きなリアクションを取ることで、意欲が伝わりやすく印象をよくすることができます。
また、対面時では直接顔を見て話せますがオンライン上でアイコンタクトを取ったりするのが難しくなります。
オンライン面接の時は、目線はカメラかZoomなどの画面をパソコンの中央上部に移動させ、相手の顔をみて話すようにしましょう。
より確実に面接選考を突破する方法
面接選考をより確実に突破するためには、一度「模擬面接」を行うことです。
リアルな面接を練習しておくことで本番の面接は非常に楽になり、リラックスした状態で臨めます。
一度面接に落ちると原則として二度と受けることはできないので、余裕があれば模擬面接の実施を強く推奨します。
もし模擬面接を実施したい場合は、弁護士専門の転職エージェントである弊社リーガルジョブボードの模擬面接をご活用ください。
「弁護士」「司法修習生」「予備試験合格者」の希望者を対象に、弁護士専門の転職エージェントが面接官として模擬面接を実施させていただけます。
面接後のフィードバックやアドバイスが可能なので、内定率アップを目指せます。
また、弊社リーガルジョブボードのような転職エージェントを利用するメリットは他にも以下が挙げられます。
- 複数の求人の選考を効率よく進められる
- 業界の専門知識や裏事情について把握しながら転職活動を進められる
- 給料面や入社時期などの交渉が可能
- 入社後のミスマッチを防げる
- どの事務所・企業が最善の転職先なのか判断できる
- 面接後のフィードバックを受けられる
詳しくは以下の記事で解説しているので、転職エージェントサービスが内定率を上げる理由を知りたい方はあわせてご覧ください。
まとめ
書類選考に合格後は、必ず面接対策をしましょう。
それは、法律事務所の面接は一つの質問に対して、細かく聞かれることが多く、対策なしでは短い時間で魅力を最大限にアピールすることが難しいからです。
それに、どれだけ希望している事務所でも1度落ちてしまえば、もう一度エントリーすることは難しく、対策不足で第一志望の事務所の内定が出なかったとなれば、もったいないです。
一度、面接対策を練っておけば、いくつか面接を受ける場合も応用が利きますので、この機会に自身の経歴やスキル、転職する理由などを見直して、対策をしておきましょう。