測量士とは
皆さんは、街中でカメラのような機械を持ち、3〜4人で道路や街の写真を撮っている作業着を着た人たちを見かけたことはないでしょうか。
彼らが測量士・測量士補です。
測量士は、道路や会社、家などを建てる前に行う「土地を計測する」仕事です。
カメラのような機械を使い、土地の距離、角度、高低差など計測します。
それらの細いデータから地形図を作り、環境条件・地形条件にふさわしい建物の構造を考えるのです。
測量の国家資格には、測量士と測量士補の2種類があり、どちらも基本測量や公共測量を行うことができます。
大きな違いは測量士は測量計画を作成できるのに対して、測量士補は作成出来ないというところです。
その分、測量士の資格取得の方が難しく、測量士補の方が合格率は高いです。
業務内容
測量士の業務といえば現場での測量のイメージですが、測量だけが仕事ではありません。
また、測量といっても様々なものがあり、全部の業務を一通りできるようになるまでには5年ほどかかるとも言われています。
では、実際どのような業務があるのでしょうか? それを下記で説明していきます。
外業
外業とは、測量のことです。
チームで建築土木の現場に行き、計画書通りに測量を行います。
測量を行う場所は、町中だけではなくまだまだ開拓されてない土地も多く測定場所に行くまでに長い時間がかかる場合もあります。
そのため、測量だけの時間はそれほどかからなくても移動時間も合わせると長時間拘束されることもあります。
内業
外業以外の事務所で行う業務を内業といいます。
内業は、測量前の計画書の作成や測量データなどをまとめ図面を作成したりする業務です。
まず、天候や時間帯などを考慮して、測定しやすい外業のスケジュールを立てていきます。
そのため、外業のスケジュールが決まってから空いている時間を内業にあてることが多いです。
一見、外業と比べると楽に思える業務ですが、データ量も多く細かな計算なども必要になってくるため、大変と感じることがあります。
公共系・民間系
測量には「公共系と民間系」の事務所があり、測量するものが違ってきます。
- 公共系:道路やトンネル、公共の建物など
- 民間系:家と家の境目を測るなど、司法書士の登記などに付随した測量
自分がどんなものを測りたいのかによって、目指す場所が変わってくるでしょう。
それぞれで求められるスキルや持っておきたい資格なども少し変わってくるので注意しましょう。
気になる年収は?
測量の業界は年収に大きく幅があり、実務経験によってかなり左右されます。
地域によって差はありますが、
- 入社して1、2年:200万〜300万円
- 5、10年(チームリーダー、主任):500万円
- 10年以上(かなり上の役職に就く):700万〜800万円
が目安となっています。
また、大手や小規模事務所、公共や民間などの規模による給料の差額などがほとんど無いでしょう。
規模の小さい会社だとしても、給料としての還元率が高い会社もあり、規模が大きければ給料が高いわけではありません。
働き始めは給料が少なく大変ですが、同じ会社で働き続け、即戦力と認められれば給料は格段と上がってくる業界です。
弊社をご利用になられた方で、転職先の給料が高い人で500万円くらいです。
転職を考えられる場合は、今もらっている給料の「マイナス100万円」になると思います。
測量士になるために...
測量士や測量士補になる方法はいくつか存在します。
資格取得
まずは、測量士になるためには資格を取得しないといけません。
取得方法は大きく分けると
- 測量士試験を受けて合格する。
- 特定の学校で、専門の学科を履修。卒業後に、測量事務所などで決まった年数の実務経験を積む。
このどちらかで、測量士資格を取得することができます。
また、測量士補になるためには特定の測量を学べる学校を卒業するか、測量士補試験合格が必須になります。その後、測量士になるためには国土交通大臣の登録を受けている専門学校などで学び、技能習得する必要があります。
そのため、将来的に測量士を目指している場合は、はじめから測量士資格を目指す方が多いです。
免許の登録
資格を取得したら『免許登録』をします。 日本国内の測量全般を司る国土地理院へ登録申請が必要です。
また、測量士は30,000円、測量士補は15,000円を登録免許税として納付します。
『資格の取得』『免許登録』をおこなって、ようやく測量士や測量士補として活躍することができます。
測量士に向いている人はこんな人!
では、測量士や測量士補として仕事する上で必要なスキルや向いているのはどんなタイプの人なのでしょうか。
それを下記でお話していきます。
几帳面で真面目!正確な方、手先が器用な方
実は、測量士は几帳面で真面目な方が向いています。
それは測量はより細かに正確に行わなければならず、測量後の内業も図面の作成や集計などのデスクワークも多く真面目にコツコツする業務が多いからです。
また、測量士が作成した図面を基準にこの後の工程が進んでいくため間違いが許されないこともあります。
チームのマネジメントが得意
測量士の業務では測量の現場だけではなく、移動も合わせて1日中一緒に行動をすることもあるため、チームワークが大切です。
だいたい2~5名程度のチームで測量をおこなうため、チームで足並みを合わせ協力しながら業務を行っていく必要があります。
限られた人数をうまく使い、効率的に正確に測量をすることは、測量の世界で一番求められていることです。
コミュニケーション能力が高い
測量や内業のイメージが強く、人との関わりがあまりないように感じますが、測量士にはコミュニケーション能力が必要です。
民間系の事務所であれば、近所の方を相手にする仕事があります。
公共系であっても、クライアントと打ち合わせをすることも頻繁にあるため、いずれにせよコミュニケーション能力が高いことに越したことはないでしょう。
コミュニケーションはチーム内のマネジメントにも影響してくるため、必要なスキルですね。
体力がある人
測量士は、気温や天候など関係なしに外業をおこなわなければいけないことがあります。
現場に行くために長時間移動をし長時間拘束になることも多く、どうしても家に帰るのが遅くなることもあり体力が必要になってきます。
また、内業も外業の合間におこなうことが多く、特に繁忙期などは作業量も多いため残業が続くこともあります。
そのため、体力がもたなくてつらいと感じる方もいるようです。
【体験談】測量士のやりがいについて
弊社で転職された方から実際に聞いた「測量士のやりがい」の体験談を、ここからまとめます。
【公共】実務経験5年 Tさん(35歳男性)
測量会社で勤めて、5年になる者です。
他業種から転職し、今の測量会社に入社しました。
業務としては、道路の開発に携わる測量を行ってます。
道路の土地測量となると、測量範囲も広く、体力的にも結構大変で最初は結構しんどいなと思ったのが率直な感想です。
最初は右も左もわからず、先輩の後を追いかける日々でしたが、知識や経験を積み
今では測量班のリーダーとして業務に励んでます。
公共の測量になるので、実際に目に見える成果になるまでは時間が掛かりますが
その分、道路が整備され、完成した光景を見ると「街づくりに貢献したな」とやりがいを感じます。
まだまだ携わっていきたい測量の仕事もあるので、日々精進して頑張っていきたいです。
【民間】実務経験20年 Mさん(50歳男性)
私は測量会社に勤めて約20年となります。
業務としては民間系の測量で、現況測量や確定測量をメインに行っております。
測量部門の責任者として、案件の打ち合わせから、図面の納品までを行いチームの工程管理も任されてます。
クライアントからは短期間での納品の依頼が多く、正直、頭を悩ませる部分も多いです。
基本全てを対応するようにしていますが、どうしても難しい案件については
事情を説明し、相手に理解をいただけるよう努めます。
ただ難しい案件ほど記憶に残るもので、何とか要望に応えられた時の達成感は言葉では表しがたいものがあります。
また携わった現場に建物が立ち、測量した現場が形となって見ることができた時は
この仕事をやっていて良かったなと実感します。
AIに乗っ取られる?測量士の将来性
測量の現場では、道路を車が走るだけで、建物の形状・標識・ガードレール・マンホールなどの測量ができる機械があったり、ドローンなどを使った測量技術も普及しています。
今後AIの技術がさらに発達すれば、内業の大半はAIがやってくれるでしょう。
時代が進歩していく中で、測量士はなくなってしまうのでしょうか。
技術の進歩により働きやすくなる
「技術が発展し、測量士の仕事がなくなる」という表現は間違いで、『今まで行ってきた仕事が簡略化され、測量士が働きやすくなる』が正しいです。
例えば、測量士補とかで補助業務だけやってる人だと、AIや最新機器に代替される可能性が高くなります。
今まで人力でやっていた業務を機械に任せることができるのは、残業や人員が減るなど事務所にとってのメリットもあります。
これからの測量士に必要なことは、経験や知識を積んで、人の指導ができるようになるポジションまでいき、AIに代替されない仕事をこなせるようになることです。
クライアントへの対応や、チーム内のマネジメント、最新技術をうまく使いこなす力などこれまで以上に求められるでしょう。
そう言った技術をつけることで、今後も生き抜くスキルがついてくるのだと思います。
まとめ
- 測量士は、道路や会社、家などを建てる前に行う「土地を計測する」仕事
- 公共系と民間系がある。(公共→道路・トンネルなどを測量/民間→家や土地を測量)
- 働き始めの給料は300万円以下、年功序列で給料は上がる
- AIに代替される仕事もあるが、依然として人の技術が必要
測量士は私たちの生活に必要な職業です。
自分の目指すキャリアにあった職場を見つけて、ぜひ測量士として活躍してくださいね。