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【弁理士】文系出身でもなれる理由やデメリット・キャリアプラン

by LEGAL JOB BOARD 三島善太

転職エージェント

担当職種:
  • 企業知財部
  • 弁理士
  • 特許技術者

こんにちは。弁理士の転職エージェント「リーガルジョブボード」の三島です。

本記事では、「文系出身でも弁理士になれる理由」について解説します。具体的には、以下のような内容です。

  • 文系出身でも弁理士になれる理由
  • 文系弁理士のメリットやデメリット
  • 文系弁理士のキャリアプラン例

弁理士が気になっている方、弁理士を目指そうとしている文系出身の方は、ぜひ最後までご覧ください。

弁理士とは

その前に、弁理士とは何かを説明しておきます。

弁理士とは、端的に表現すると「知的財産に関する専門家」です。

知的財産権に関するアイデア、デザインなどの人間の知的創作を特許庁などに出願する際に、それを代理する仕事を請け負います。

弁理士・司法書士などの8士業と呼ばれるうちの1つです。

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文系出身でも弁理士試験の合格は可能な理由

文系出身でも弁理士試験に合格することは可能です。

その理由を以下に示します。

理由①試験内容は理系有利というわけではないから

弁理士試験(短答式試験・口述試験)は基本的に、理系が有利に働く内容の試験にはなっていません。

理系出身だから解きやすい・文系出身だから解きにくいということはないのです。

理由②論文試験にある「選択問題」は文系分野である「民法」が存在するから

論文試験にある「選択問題」の多くは理系分野が用意されています。

一方で文系分野である「民法」も存在するため、文系出身であっても試験対策を行うことは可能なのです。

「弁理士を目指すか迷っている」「弁理士を目指したいが、いつ・何からすれば良いか分からない」といった方は、弁理士・知財専門エージェント「リーガルジョブボード」にご相談ください。情報収集のみでもご利用いただけます!

文系の弁理士試験の合格率

次に、文系の弁理士試験の合格率を見ていきましょう。

実は、文系出身であっても理系出身であっても、弁理士試験の合格率にはほとんど差はありません。

文系の合格率は約5%、理系の合格率は約7%です。

特許庁のここ3年のデータを確認すると…

弁理士合格者 文系と理系割合

上の図のように出願割合は圧倒的に理系が多い(文系:全体の15%〜20%、理系:全体の70%~80%)ものの、

下の図を見ると、合格率に差はないことが分かります。

弁理士試験を受験した文系出身者の人数と、そのうち合格した人数
弁理士試験を受験した理系出身者の人数と、そのうち合格した人数

上の図から分かるように、文系の合格率は約5%で理系の合格率は約7%です。

文系も理系も、合格率はわずか2%しか変わりません。

若干理系の方が有利かもしれませんが、微々たる差だと言えるでしょう。

弁理士試験の難易度や勉強時間・合格率については以下の記事で詳しく書かれています。

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文系弁理士の合格後のキャリア

文系弁理士は基本的に、意匠・商標専門の弁理士として働くケースが多いです。

弁理士には2種類あり、「特許弁理士」と「意匠・商標弁理士」が存在します。

文系弁理士の場合は後者の弁理士に、理系弁理士は前者の弁理士になることが多いのです。

意匠&商標弁理士のメイン業務内容

では、文系出身者が基本的になる「意匠・商標弁理士」の業務内容について、下記に列挙します。

  • 国内顧客への報告レターや現地代理人への指示レター作成
  • 案件進捗管理、期限管理
  • 請求書の作成・送付
  • 郵送書類や備品の管理
  • マドリッドプロトコルに基づく出願の準備
  • ハーグ協定に基づく出願の準備
  • 出願前の調査
  • 出願の書類作成
  • 中間処理

特許業務は文系出身者には難しい理由

文系出身者が特許弁理士になるのは非常に難しいです。

理由は、特許業務が理系の専門的な知識が必要とされるからです。

ですので文系出身の弁理士の方は意匠・商標弁理士として働かれる方が業界として多いです。

ただし、文系の方でも企業でエンジニアとして働いている方は特許業務に携われる可能性があります。

「弁理士を目指すか迷っている」「弁理士を目指したいが、いつ・何からすれば良いか分からない」といった方は、弁理士・知財専門エージェント「リーガルジョブボード」にご相談ください。情報収集のみでもご利用いただけます!

文系弁理士(意匠・商標弁理士)として働くメリット・デメリット

次に、意匠・商標弁理士として働くメリットをまとめます。

メリット:文系出身者でも戦えるフィールドである

意匠・商標の内容は文系出身者でも比較的理解しやすいです。
また取り扱う対象も、身近で触れているものが多いのも特徴です。

メリット:企業の法務部又は知財部で働く事が出来る

企業勤めは安定して働く事が出来ると言えるでしょう。
後ほど詳しく説明しますが、企業の法務・知財部で働く事は現在人気があるので選択肢として是非検討してみてください。

メリット:働きながらも修習をする事が出来る

弁理士として活動するには「試験」に合格するだけでなく、「座学」や「実習」などの経験を積まなければなりません。
弁護士の修習期間は約1年ほど掛かる一方、弁理士の修習期間は約4ヶ月ほどで終わります。
また、弁理士の修習をオンラインで受けられたり、集中して講義を受けることが出来るので仕事を続けながらも修習を受けることがしやすい環境といえるでしょう。

デメリット:市場自体が小さい

一つ目のデメリットは、意匠・商標は市場自体が小さいことです。
意匠・商標をメインとする事務所は現状少ないです。
市場自体が小さいため、基本的には特許業務をメインとする事務所が多いのが実情です。

デメリット:大幅なキャリアアップが望めない

デメリットの二つ目に、大幅なキャリアアップが望めない点があります。
意匠・商標弁理士よりも、特許弁理士の方が市場では転職しやすい状況となっています。
特許メインの事務所が多く、意匠・商標メインでキャリアアップしていくことがしにくいからです。

デメリット:裁量権を広く持たせて貰えない可能性が高い

裁量権を広く持たせてもらえない可能性が高いのも、デメリットの一つです。意匠・商標を専門としている事務所は大手が多いゆえに、完全分業制となっているケースがほとんどだからです。

文系弁理士が生き残るためのポイント

特許弁理士に比べて市場規模が小さい意匠・商標弁理士とはいえ、これから活躍していくことは不可能というわけではありません。

そこで、今後文系弁理士が生き残っていくためのポイントを以下にまとめます。

①英語のスキルを活かす

英語のスキルを業務に活かすこともまた、キャリアアップの手助けとなります。

英語のスキルを活かせる特許業務は「特許翻訳」です。

海外の代理人の方と文章や口頭でのやり取りが出来る人材は、知財業界では重宝されます。

実際に特許を翻訳するだけで年収1000万を稼いでいる方もいらっしゃいます。

特許翻訳としての経験を積んでいくことも選択肢の一つだと言えます。

②意匠&商標メイン企業の知財部で働く

意匠・商標がメインの企業の知財部で働くのも、キャリアとしては大いにありです。

大手企業だと自社内で弁理士を雇い、出願作業まで自社で行っているところが割と多いです。

そのため、例えば意匠や商標を専門とするゲーム会社などの知財部で働くことも選択肢として十分に考えられます。

特許事務所と違い、自社の製品を出願まで内製化して行う為その部分にとてもやりがいを感じることが出来ると思います。

「弁理士を目指すか迷っている」「弁理士を目指したいが、いつ・何からすれば良いか分からない」といった方は、弁理士・知財専門エージェント「リーガルジョブボード」にご相談ください。情報収集のみでもご利用いただけます!

③理系の知識(特許分野)を少しずつ身につける

理系出身者が取り扱う分野(特許分野)も扱えるようにすることが、第一に大切です。

例えば機械やIT系などの分野。

このあたりは文系出身者でも理解しやすい分野であるため、特許出願も扱えるようにすることでキャリアの幅が広がります。

弊社リーガルジョブボードでは数多くの弁理士の求職者様とお話させていただいておりますが、知財市場に置いて理系分野のバックグラウンドがある方とない方とでは、転職のしやすさや転職後の条件に差が出ております。

理系大学の通信教育を受講するのも手段の一つです。

④コミュニケーション能力を活かす

基本にして重要である、コミュニケーション能力を活かすことも今後の意匠・商標弁理士には大切です。

近年AIが弁理士の業務を代わりに務めることが出来るという話があるが、発明した研究職員とのコミュニケーションが必要な知財コンサルティング等は、AIが簡単に弁理士に変わって出来る分野ではありません。

そこで文系出身者でコミュニケーションを取ることが得意な人材は、これからも必要とされるのです。

未経験から弁理士・知財業界にチャレンジしたい方へ

弁理士や特許・知財に興味をお持ちの方、転職を検討している方で、

  • 弁理士や特許事務所の仕事について知りたい
  • キャリアチェンジした場合の年収目安を知りたい
  • 弁理士・特許技術者の適性があるか不安

などのお悩みをお持ちの場合、弁理士・知財専門の転職エージェント「リーガルジョブボード」にご相談ください。業界知識が豊富で、高い専門性を持ったプロがご対応いたします。

情報収集のみでのご利用も可能ですので、お気軽にお問合せください。

エージェント利用のメリット

この記事の執筆者

LEGAL JOB BOARD 三島善太

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