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弁理士・特許技術者の将来性や需要・今後について解説

by LEGAL JOB BOARD 三島善太

転職エージェント

担当職種:
  • 企業知財部
  • 弁理士
  • 特許技術者

こんにちは。弁理士の転職エージェント「リーガルジョブボード」の三島です。

本記事では「弁理士・特許技術者の将来性や今後の需要」について解説します。

一部では、弁理士業界の様々な変化に伴い「弁理士の将来性はない」「今後、仕事はなくなるのでは?」と言われることも。

弁理士・特許技術者を目指すべきか迷っている方、将来性があるのか知りたい方は、最後までご覧ください。

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弁理士・特許技術者の業界の現状

将来性を解説する前に、まず弁理士・特許技術者の属する知財業界の現状について整理しておく必要があります。

知財業界はここ数年で大きく変化し、転職市場も少しずつ変わり続けているからです。多角的に知財業界を俯瞰することで、より理解を深めることができるでしょう。

弁理士人口の減少

近年、弁理士資格に合格する人数は徐々に減っています。数年前までは、弁理士試験は比較的受かりやすかったため、弁理士数が一気に増えた時期がありました。

しかし現在は人気度が昔に比べ若干下がりつつあることや、高齢の弁理士の方が年々引退していることから、徐々に弁理士の全体数が減少してきていると言われています。

また年齢についても補足しておきますと、2019年12月31日時点で、一番多い弁理士の年代は45歳〜50歳未満で2251人(全体の19.6%)です。次いで40歳〜45歳未満で2,116人(全体の18.4%)。

30~35歳未満は、400人しかおらず、25歳〜35歳未満に至っては58人です。

これらから言える補足ですが、弁理士試験合格者の平均年齢が30代半ばと言われていますから、若手の人材は重宝されます。若い弁理士はライバルも少なく活躍しやすい環境と言えます。

弁理士の平均年齢や年齢制限など、年齢にまつわる情報については以下の記事をご覧ください。

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AI技術の進歩

AIの進出は弁理士の将来性に大きな影響を与えると言えます。しかし全ての業務がAIに代替されることはありません。

例えば弁理士業務の「明細書作成」は分野の複雑な知識が必要な上、文章力がなければ作成は困難なため、AIには作成が難しいと言えるでしょう。一方で商標出願業務や調査・翻訳の作業などはAIの得意とする分野。

商標出願業務で言えば、「登録したいロゴ画像・商品名をアップロードさせるだけで、類似している商標があるかどうかを調べることが出来る」ような商標検索エンジンが存在しています。

▼商標検索エンジンの例

  • Toreru(トレル)
  • Cotobox(コトボックス)
  • すまるか

商標登録出願件数は年々増加傾向にありますが、上記のような背景から、商標出願の報酬が安くなっているのも事実のようです。

また調査や翻訳で言えば、例として、株式会社AI Samurai様が開発された「AIsamurai(AIサムライ)」のような人工知能を用いた類似特許文献評価システムが存在します。

知財部員の働き方の変化

近年、弁理士や特許技術者といった「知財知識やスキルのある方(知財部員)」を雇い、自社で出願を行う企業が増えてきました。

加えて弁理士や特許技術者の方々は、歩合制の事務所よりも「安定した給与の保証」を求めるようにもなっています。

事務所ではなく企業の知財部で知財知識を活かす「知財部員」として働く選択肢も増えてきました。

特許関連費用に対する企業の考え方の変化

自社で出願を行う企業が増えてきていると前述しましたが、その1番の理由はコスト削減のためです。

バブル期には、日本企業の時価総額は世界的にも上位に名を連ねていましたが、今はアメリカや中国の企業に追い抜かれている状況です。

そのため日本国内では、発明が多く出願件数の多い大手企業は特許出願にかけるコストを減らしたい意向が強いです

その影響を受け、大手企業の案件をメインに担当している多くの特許事務所は、値下げ交渉や案件数の減少で苦しんでいます。

スタートアップ企業の知財戦略の拡大

一方で、スタートアップ企業の知財戦略が今注目されており、スタートアップ企業を専門に支援している特許事務所が増えてきています。

スタートアップ企業には知財部がないため、特許事務所が出願関連をコンサル的観点からサポートするケースが多いです。

スタートアップ企業は出願件数が多くないことに加え、コストを惜しまない傾向があります。

また、特許庁もスタートアップ企業の支援に力を入れていて、専門のチームが結成されています。

出願費用を支援する制度やスーパー早期審査といった制度もあり、今後ますます注目されていくでしょう。

弁理士・特許技術者の年収と変化

以前は、年収1,000万円を超える弁理士の方が多数いらっしゃいました。しかし、ここ数年で見ると、以前よりは年収は若干減少傾向にあります。

もちろん現時点でも、他の職種と比べれば年収は高いです。それでも減少傾向にある理由は、前述したように、大企業の知的財産関連費用に対する考え方が変わってきており、案件単価が下がってきているためです。

下記で職種別に、年収について解説いたします。

弁理士の年収

弁理士の平均年収は700万円です。

上記でお話したように、年収が減少傾向にありますが、まだまだ弁理士は高給与。

また、特許出願件数が未だ増え続けている外国企業の案件を扱う事務所や、スタートアップ企業専門の事務所は、依然として好景気のようです。

弁理士の年収については下記の記事で詳しくお話ししていますので、ぜひお読みください。

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特許技術者の年収

特許技術者の平均年収は、約600万円です。

一般的なサラリーマンの年収450万円と比べると良いですが、実は特許技術者の年収は勤務先や年齢によって大幅に変わってきます。

下記の記事で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください。

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弁理士の将来性や需要

本題の「将来性」についてです。弁理士は今後も必要とされます。

それは、時代や国の政策によって新たな開発はまだまだ成されるためです。一概に「将来性がない」とは言い切れないのでご安心ください。

とはいえ、弁理士になれば将来性が「絶対に」約束されるというわけでもありません。

将来性はありますが、より将来性を確保するためには、語学スキルや特定の技術分野のバックグラウンドなど、他の弁理士よりも得意な領域や分野を確立することが大切だと言えるでしょう。

弁理士としてキャリアアップする方法は下記の記事でまとめています。

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特許技術者の将来性や需要

特許技術者も同様、将来性はあります。

しかし強いて言う点としては、弁理士資格がない特許技術者は参入障壁が若干低くなるため、更なる競争の激化が予想される点はあります。

前述したような「得意な領域や分野の確立」も大切ですが、より大切なことは「弁理士資格の取得」です。

弁理士の資格があれば、

  • 独立できる
  • 案件の受注数が多くなる
  • 年齢関係なく転職しやすくなる

というメリットがあります。

資格を取得し、語学スキルや特定の技術分野のバックグラウンドに強みのある弁理士を目指しましょう。特許技術者として働きながら弁理士を目指す方法やメリットは、下記の記事でまとめています。

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弁理士や特許技術者になる方法

弁理士・特許技術者が働いている知財業界は変化を続けています。

しかし、どちらも将来性がありやりがいのある職種です。

本記事を読んで弁理士や特許技術者にご興味を持たれた方は、下記の記事もご覧ください。弁理士や特許技術者へのなり方や仕事内容が分かります。

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弁理士試験の難易度

弁理士になるには、弁理士試験に合格が必須です。

合格率は、6~8%台を推移しており、難関資格と言えます。

下記の記事では弁理士試験の難易度や勉強時間について詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

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独立について

弁理士資格を取得した後に、独立を考える方が多くいます。

実際、士業は小さな規模で開業出来るため、独立しやすいといわれます。しかし、独立するには、弁理士業務のスキルだけでなく営業力も必要です。

また、独立に失敗した場合でも、弁理士資格を持っていると再就職が可能です。詳しくは下記の記事をご覧ください。

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定年後の働き方

弁理士は、基本的に「60歳〜65歳」が定年として定められているケースが多いです。

最近は業界の人手不足が深刻なため、定年を迎えても契約社員や嘱託社員として働いている弁理士の方も増えてきました。

専門職なので、長期間働くことが出来るのも魅力です。詳しくは下記の記事でまとめています。

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この記事の執筆者

LEGAL JOB BOARD 三島善太

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