司法試験合格者の就職先
司法試験合格後の進路は、大きく分けると下記の4つ。
- 法律事務所
- 一般企業の法務部(インハウスローヤー)
- 裁判官
- 検事
以前は弁護士として法律事務所で働くことが当たり前でしたが、時代の変化に伴い、司法試験合格者の就職先の選択は拡がっています。
近年では、インハウスローヤーとしての働き方も注目されており、少しずつですが求人が増えています。
法律事務所
法律事務所は、司法試験合格者が選択する一番多い就職先です。
司法試験受講者は、まず法律事務所へ入社することを想定して資格取得を目指している方がほとんど。
平均年収が約550万円程度で、経験やスキル次第では更に上を目指せます。
働く事務所によっても年収は大幅に違いがあり、例えば大手法律事務所で働いたときの1年目の年収は1,000万円を超えるともいわれます。
法律事務所は規模によって特徴が様々なので、どこでどんな経験を積むかが長期的なキャリアを考える上で大切になってきます。
一般企業の法務部(インハウスローヤー)
司法試験合格者の中には、一般企業の法務部へ入社する方もいます。
一般企業なので、法律事務所と比べると残業が少なく待遇がいい傾向にあるため、ライフワークバランスを大切にしたいと考える方に向いています。
その一方で、1年目の平均年収は400万円程度と法律事務所と比べると少なめ。
しっかり稼ぎたい!と考える方は、一般企業より法律事務所が向いています。
また、一般企業の法務部であれば司法試験合格は優遇される条件ではありますが、必須ではありません。
そのため、法科大学出身者や司法書士資格取得者などを含めライバルは多め。
一般企業の法務部へ入るのはなかなか倍率が高く、難しい傾向です。
裁判官
司法試験合格後、裁判官を目指すこともできます。
1年目から年収約600万円と高給与を目指すことができますが、難関資格と言われる司法試験を合格した中で、さらにまじめで優秀な人材のみがつくことができる職業です。
優秀な人材に積極的に声がかかるといわれており、誰しもがなれるわけではありません。
司法試験の順位がいいのはもちろんのこと、修習中の試験も上位であることは必須です。
補足ですが、裁判官に任官されると、「未特例判事補」になり、見習いとして学びます。まだ一人で裁判はおこなえず、裁判長も務められません。
任官から5年で「特例判事補」となります。特例判事補になると、一人で裁判をおこなえるようになります。10年目になると「判事」になり、一人前といわれ、その後は「高等裁判所長官」「最高裁判所判事」「最高裁判所長官」とキャリアアップをしていくことがあります。
しかし、「判事」以上のキャリアを積む人はほんの一握りです。
検事
検事になるという道もあります。
年収は500~600万円で、部長クラスになると1,000万円を超える年収になる傾向にあります。
検事になるためには司法修習生考試合格後、検事採用面接を受けなければなりません。
判断基準として、
「能力・適性・人格・識見に優れた方を総合的に判断した上、採用されます」
とされており、資質を面接では見極められます。
補足:検事としてのキャリア
基本的には下記の順でキャリアを積んでいきます。
- 新任検事
- 新任明け検事
- A庁検事(ここまでで5年程度)
- 三席検事
- 次席検事
- 検事正
- 検事長
- 検事総長
新任検事、新任明け検事は力をつける期間です。
5年目以降になると、一人前の検事として認められる存在になります。
弁護士のキャリアパス・キャリアプラン例
以上のような選択肢が用意されている中、弁護士としてのキャリアパス・キャリアプランはどのようなものがあるのでしょうか。
以下で例をご紹介するので、参考にしながら就職先・転職先をご検討いただけると幸いです。
法律事務所→本命の法律事務所への転職
法律事務所で経験を積んだのち、待遇のいい事務所や自身がやりがいを感じる事務所へ転職をしていくキャリアパスがあります。
そういったキャリアを積む場合、どういった事務所で経験を積むかで転職しやすくなる事務所も変わってきます。
例えば、一般民事系事務所で経験を積んでいる弁護士の方が同じタイプの事務所への転職はしやすいですが、渉外事務所・総合事務所へ転職するのは難しい傾向にあります。
もちろん転職できないわけではないですが、上記のような考えがある方は、経験を重視されない若手と言える30代半ばくらいまでには転職をしておいた方が無難です。
また、経験を積むことによってアソシエイト弁護士ではなく、パートナー弁護士として法律事務所に身を置く道もあります。
その場合、事務所側はどの程度の売り上げを立てることができるのかをパートナー弁護士に求めますので、弁護士業務を身につけるだけではなく営業力やコミュニケーション能力を磨く必要があります。
もしキャリアパスについてお悩みであれば、弊社リーガルジョブボードの弁護士専門の転職キャリアアドバイザーが、あなたの将来やキャリアについてご相談に乗らせていただきます。
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法律事務所→一般企業(インハウスローヤー)への転職
法律事務所で勤務した後、インハウスローヤーとしてキャリアを積むこともあります。
法律事務所で残業続きだった弁護士の方が、ワークライフバランスを考え一般企業で働く選択をすることが増えてきました。
もしインハウスローヤーになるのであれば、企業法務業務を経験することが必須。
また、採用側は若い人材を求めていることがほとんどですので、遅くても30歳前半までに転職することを推薦しています。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
一般企業→一般企業
一般企業から他の企業でインハウスローヤーとして転職することがあります。
採用側は、「インハウスローヤーとしての経験を持っている人物」を求めていることが多いです。
そのため、「司法試験合格者で業務未経験」「法律事務所出身者」と比べると内定が出やすい傾向にあります。
ただ、企業法務の求人自体はさほど多くないため、インハウスローヤーとしての経験だけではなく、他のスキルを持っておくほうが良いです。
例えば、海外との取引がある企業の場合「語学スキル」はアピールポイント。
TOEIC800点以上、英文契約書での取引経験などがあれば即戦力として優遇されます。
一般企業→法律事務所
司法試験に合格し、司法修習後登録まで済ませている方であれば、インハウスローヤーから法律事務所へ転職することも可能。
しかし、そういった方はほとんどいないのが現状です。
司法試験を受けた方は全員といえるほど、法律事務所で弁護士として活躍することを目標にしていますし、法律事務所側にとって一般企業での企業法務経験はアピールポイントとしては少し弱いため採用率も低いです。
もし、一般企業の法務部から法律事務所への転職を希望する方は、なるべく若いうちに転職することを推薦します。
法律事務所→独立
法律事務所で経験を積み、独立をする弁護士の方もいます。
昔は独立する弁護士が多くいましたが、近年ではアソシエ弁護士やパートナー弁護士を選択する方も増えています。
独立するためには、業務を経験しながら力をつけ営業力を磨く必要があり、コネクションを広げていかなければなりません。
転職のご相談に来られる弁護士の方の話を聞くと、「絶対ではないけど、将来的に独立できそうならしたいですが、今はいい事務所で経験を積みたい」といった温度感の方が多いです。
転職する事務所選びは大切
自身が望むキャリアを進めるように、弁護士経験を積む事務所選びは大切です。
まだ、弁護士になったばかりでそんな先のことまでわからないといった方も多いですが、今の事務所で経験していることは、将来的なキャリアにも関わってきます。
まずは将来どういったキャリアを積んでいきたいのかを考えて、そのために積む必要がある経験やスキルを明確すると、ベストな転職先のイメージができます。
自身では、考えがまとまらない方はぜひ弊社LEGAL JOB BOARD(リーガルジョブボード)の転職エージェントへご相談ください。
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求人を作成するにあたり、経験や人柄を大切にしているのかまでヒアリングをしており、一人ひとりに合う事務所をご紹介可能。
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