特別研修の概要
まず、特別研修の概要をお話していきます。
日程
特別研修の日程は、例年1月上旬から3月下旬の約1ヶ月間です。
主に土~月曜日の間にありますが、研修にある簡易裁判所の傍聴は平日の13~16時に行われます。
特別研修の前に執り行われる、連合会の中央新人研修・ブロック研修の時期は1、月上旬から下旬ですので、司法書士合格後に研修が始まれば、目が回る忙しさです。
しかし、今年2020年はコロナの影響で延期になり、例年7月にある試験自体が約2ヶ月後の9月に執り行われました。
特別研修の日程はまだ出ていませんが、特別研修もいつもより2ヶ月ほど遅れて実施されるのではないかと言われています。
研修日程は、決まり次第、司法書士会のホームページで発表されます。
費用
特別研修の費用は145,000円です。
司法書士の研修は特別研修だけではなく、中央新人研修・ブロック新人研修があります。
費用の内訳は下記になります。
- 中央新人研修 43,200円
- ブロック新人研修 32,400円
- 特別研修 145,000円
上記の他に、交通費・宿泊費も自身で用意が必要です。
特別研修の具体的な内容
下記で、特別研修の具体的な内容をお話していきます。
集合研修
約12時間、集合研修をおこないます。
内容は、民亊訴訟法、基本法令、裁判実務の基礎知識。
集合修習の講師は、学者・裁判官・弁護士・裁判所書記官で、予め録画させている講義DVDを大教室で試聴します。
【集合研修の特徴】
講師は、専門的な用語を当たり前に使用します。
しかし、研修受講者は用語を知っていたとしても、意味を深く理解していないことも多く、講義内容を自身に落とし込むのに時間がかかってしまうという声をよく聞きます。
講義は長く、講義DVDの試聴なので、ついつい眠気が襲ってくることもありますが、居眠りの無いようしっかりと受講しましょう。
グループ研修
グループ研修は、約36時間あります。
講師は司法書士(チューター)。
「売買」「消費貸借」「建物明渡し」の事案を中心に、具体的事案(設例)を解いていき受講者15名のグループで討議します。
【グループ研修の特徴】
ゼミ形式の学習です。
討議したり、指名されて答えを求められることもあるので、予習をしておいた方がよいでしょう。
集合研修と比べ、活発に学習が進められるので、実力をつけ、同期と差をつけたいのであれば、積極的に討議することが重要です。
ゼミナール
ゼミナールは約18時間あります。
グループ研修の効果を確認することが、この研修の目的です。
- 訴訟や弁論主義といった基礎的な概念
- 要件事実の意味(抗弁事実・再抗弁事実・請求原因事実など)
- 攻撃防御の基礎構造(主張、立証)
上記のような、民事訴訟の基礎的な内容の学習をします。
グループ研修の2グループで構成された、合計約30名を1組とし、講師の弁護士から講義を受けます。
講義は「双方向形式」をとっており、講師から指名され答えを促されます。
【ゼミナールの特徴】
弁護士が直接講義をおこなうため、履修内容について質問できる機会です。
しかし、ゼミナール受講者は約30名と多く、じっくり質問できる時間を確保するのが難しい雰囲気です。
すぐに質問できなくても、空いた時間を見つけて質問できるよう、質問をストックしておきと良いでしょう。
模擬裁判
模擬裁判は約12時間用意されており、具体的事案について、実戦形式で訴訟を実演します。
模擬裁判の講習では、法廷のプロである弁護士が講師として登板。
グループ研修の2つのグループを、原告側と被告側に分け、訴訟を展開していきます。
グループのメンバー全員、原告本人役・被告訴訟代理人役など、何かしらの役割を与えられます。
【模擬裁判の特徴】
実戦形式の訴訟をおこないますが、これまでの研修や学習で基礎知識を頭に入れ、落とし込んでいないと、どのような訴訟行為をしなければならないのかがわかりません。
裁判自体、現役の司法書士でもなかなか慣れていないと難しいもの。
まずは、基礎知識をしっかり消化することが大切です。
法廷傍聴
法廷傍聴の研修では、約6時間が用意されており、実際の訴訟事件を、法廷の傍聴席で傍聴します。
司法書士(チューター)が引率者となっており、グループ研修の1グループを半分にわけ、7、8名で法廷に入ります。
【法廷傍聴の特徴】
初めての傍聴の受講者も多いため、どのように傍聴を見学して学んだらいいのかがわからない方が多いようです。
傍聴をする際は、「傍聴人」ではなく「代理人」の立場を意識すると、今後に役立ちます。
代理人としてどのように振舞えばいいのかを注意深く見ておきましょう。
例えば、
出頭したらどうするのか(出頭カードの記載)
- 法廷時の挨拶
- 原告・被告の位置
- 訴状などの書面の陳述の仕方
- 裁判官とのやりとり
1度経験すると、スムーズにいく簡単なものですが、経験がないとスムーズにいかずに依頼人を不安にさせるかもしれません。
司法書士倫理、簡裁代理権の範囲
裁判事務に関する司法書士法、民事訴訟法、民事保全法、司法書士倫理知識についてを約4時間学習します。
講師は弁護士で、執務上の心構えなどの講義を行います。
【司法書士倫理、簡裁代理権の範囲の特徴】
司法書士として、してよいこと・してはいけないことの峻別ができる基本的な心構えを学習します。
綱紀事件を起こさないためにも、最後の研修として司法書士倫理を学ぶことは重要です。
もし、綱紀事件を起こしてしまうと、自身だけではなく、依頼人の損害も大きいですので、意識を高く持ち司法書士として業務をおこなえるよう、最後の研修をすすめましょう。
予習や対策・事前準備など
特別研修は、必ず予習が必要と言われています。
テキストは、特別研修が始まる1ヶ月以上前に届いていることが多いので、予習できる期間はあります。
しかし、特別研修の前に行われる、ブロック研修や中央新人研修中にテキストが届くこともあり、ついつい予習は後回しになってしまいがちです。
また課題も出され、ブロック研修を受講した場所によるかもしれませんが、「特別研修が始まるまでに、課題を10個全部やるように!」と言われるようです。
内容は下記のようなもの。
- 貸金等請求事件の訴状を作成
- 答弁書を作成
どれも、時間がかかってくるのでなるべく早めに取りかかります。
課題をし、予習をしておくことで、特別研修の内容をより理解することができ、しっかり消化することができます。
特別研修を受けないとどうなるか?
特別研修を受けないと、認定考査試験が受けられません。
認定考査試験を受けると、140万円以下の民事訴訟案件を対応できる認定司法書士として活躍の場を広げられます。
債務整理系の事務所にいきたい場合は、特別研修および認定考査が必須です。
基本的に、8割〜9割の司法書士の方は特別研修を受けています。
認定考査を受けるメリット・デメリットは下記の記事でまとめています。
就職・転職活動のタイミング
司法書士に合格した後の就職・転職活動のタイミングは、みなさんよく悩まれている傾向にあります。
基本的な就活のタイミングは、新人研修の間(特別研修が始まる前)や、特別研修が終わった後です。
ただし、この時期は合格後の司法書士が次々と内定が出る時期でもあるため、条件の良い求人が徐々に減っていく傾向にあります。
そのため、就職・転職活動を始めるなら早めがベターです。
就活と言っても、すぐに求人に応募したり面接をしたりしなければならない、というわけではありません。
司法書士専門の求人サイトに登録しておき、最新の求人情報にキャッチアップしながら研修などを進め、「条件の良い求人(残業の少ない職場や給料の高い事務所など)の紹介を受けたら応募してみる」というような流れがスムーズです。
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