司法書士事務所の種類や特徴
まずは司法書士事務所の種類と、その事務所の特徴や業務について解説します。
一口に司法書士事務所と言っても、その種類はいくつか存在します。
それぞれの事務所のメリット・デメリット両方を記載しているのでご覧ください。
①不動産メインの司法書士事務所
一つ目は、「不動産メイン」の司法書士事務所です。
不動産メインとは、不動産登記のことで、例えば土地を購入した際に土地の登記簿に所有者として名前を記載する手続きです。
司法書士業務の多くは、不動産登記です。
不動産案件は圧倒的に多いため、不動産登記を生業にしている事務所は多いです。
働くメリット |
司法書士のメイン業務である不動産登記のスキルを身につけることが出来ます。 司法書士と言えば不動産登記と言われますので、不動産登記に関連するスキルは必須です。 |
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働くデメリット |
不動産のみの事務所であれば決済業務が非常に多く、月末は残業が多くなる傾向があります。 決済とは、不動産の売買の際に売買代金を支払う残代金決済のことです。 多忙であることや業務の偏りから、別事務所への転職を検討する方もいらっしゃいます。 |
②商業メインの司法書士事務所
二つ目は「商業メイン」の司法書士事務所です。
商業メインとは、商業登記のことで、例えば会社設立時に商号(社名)・役員情報・資本金額などを法務協で登録する手続き。
司法書士業務の1.5割程度は商業業務です。
商業がやりたい!と考える司法書士も多く、人気の業務です。
働くメリット |
ワークライフバランスが保ちやすいです。 商業の場合は取引先が企業になるため、アポイントは日中になるからです。 不動産業務のスキルを身につけ、新たな業務を身につけたいという方にもってこいな事務所(業務)です。 |
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働くデメリット |
司法書士業務の中で、一番最初にAI化されると言われています。 そのため、商業メインのスキルのみに偏ってしまうと将来的に仕事が減少してしまう懸念があります。 |
③信託メインの司法書士事務所
三つ目が「信託メイン」の司法書士事務所です。
司法書士がおこなう信託業務とは、民事信託のことで、自分の財産を信頼出来る人に託し、その財産を自らが定めた目的に沿って管理・運用してもらう制度です。
人口の減少や、AIの導入による業務の縮小の不安から、あらゆる事務所が信託を取り入れ始めています。
高齢化の現代において注目されている、トレンドの業務です。
働くメリット |
高齢化が進んでいるため、今後業務の増加が見込まれています。 高齢者や親族に寄り添うことが多く、AIではカバーできない領域です。 |
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働くデメリット |
今後伸びる見込みのある事業とは言うものの、本当に将来的に伸びるのかどうかは未知です。 信託メインで成功し、売上を伸ばしている事務所もまだ少ないです。 |
④債務整理メインの司法書士事務所
四つ目は「債務整理メイン」の司法書士事務所です。
CMなどでもよく流れていた「過払い金請求」などの債務整理業務です。
過払いバブル期より減少傾向ではあるものの、債務整理の業務(任意整理・破産・個人再生など)はなくならないため安定しています。
働くメリット |
貸金業法の改正で「過払い」の新たな発生がなくなったので、過払いバブル期より減少傾向しています。 しかし、債務整理の業務(任意整理・破産・個人再生など)はなくならないため安定しています。 |
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働くデメリット |
債務整理事務所を扱っている事務所は、100%業務が債務整理のみのところが多いです。 そのため、長年勤めると別分野に転職しにくくなることもあります。 どの分野を極めたいのか1年くらいで判断された方が良いかもしれません。 |
⑤幅広い業務を請負う司法書士事務所
五つ目は「幅広い業務を請け負う」司法書士事務所です。
司法書士に一番人気なのは、さまざまな経験が積める事務所。
しかし、オールラウンドな事務所は数が少なく、人気が殺到することも多いため求人が少ないことも。
働くメリット |
さまざまな経験を積めることがメリットです。 幅広いスキルを身に付けられるため、偏りなくスキルアップできます。 |
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働くデメリット |
事務所としては幅広い業務を請負っていても、部門が分かれており特定の業務しか任せてもらえないことも。 また、事務所によっては基本的なことしか学べず「広く浅く」な知識になってしまう可能性もあります。 入社前に業務スタイルを確認しておくのが良いでしょう。 |
司法書士事務所の規模別の特徴
これまでは、司法書士事務所の種類についてまとめてきました。
ここからは、司法書士事務所の「規模別」で特徴をまとめます。
事務所規模 | メリット | デメリット |
個人事務所 (10人以下) |
全体の人数が少ないため、代表との距離が近いです。 代表のそばで学ぶことができ、経営や案件受注も身近に学ぶことができます。 |
大量の案件受注はできないため、大規模事務所に比べると関われる案件の数は少なくなります。 |
中規模 (10人以上) |
ある程度案件を多く取り扱っています。 希望を出せば、色々な業務に携わらせてもらえる自由さがあることが多いです。 |
ある程度の案件数になりつつも、1人で一連の流れを習得できるシステムになっているところも多いため、激務になりやすい傾向です。 |
大規模 (30人以上) |
有名企業との取引ができることと、案件が多いことです。 小規模では関われない案件に携われる可能性も高く、ハイスピードで学べる環境です。 |
分業化が進んでいることが多いため、1人で一連の流れを習得できない可能性があります。 流れ作業になりやすい傾向にあるため、1つ1つの仕事を丁寧にこなすという感じではありません。 |
それでもどの司法書士事務所を選べば良いか分からない場合
これまで「事務所の種類」と「規模」それぞれの観点からの特徴を解説してきました。
特徴を把握することで、就職先として選ぶべき司法書士事務所がだんだんと分かってくるはずです。
もしそれでも判断がつかない場合は、「自己分析」を行いましょう。
転職・就職する時に大切なのは「自己分析」です。
- 将来的にどんな司法書士になりたいのか
- どんな業務に携わっていきたいのか
- 独立したいのか、勤務司法書士で働いていきたいのか?
などを考え、理想的なキャリアパスを思い描きます。
そのキャリアパスを形にする為に、どんなスキルが必要なのかなどを考えて、事務所選びをしなければいけません。
詳しくは、下記の記事でまとめていますのでぜひ参考にしてください。
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