司法書士の実務「不動産登記・商業登記」の業務内容や1日の流れ
by LEGAL JOB BOARD 稲田
転職エージェント
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こんにちは。司法書士の転職エージェント「リーガルジョブボード」の稲田です。
本記事では、司法書士の実務である「不動産登記・商業登記」について解説します。
登記業務を取り扱う司法書士事務所に転職した場合、どのような業務内容や働き方になるのか、具体的にイメージできるよう本記事をまとめました。
この記事の目次
登記の意味や業務内容
登記とは、不動産・物権・債権などの権利や義務を保護し、スムーズに取引を行うための法律です。
中でも、司法書士が携わる登記業務は主に以下の2つ。
- 不動産登記
- 商業登記
下記で、不動産登記および商業登記の業務内容を詳しく解説します。
不動産登記
司法書士の業務で、メインとして扱うことが多いのが不動産登記です。
不動産登記とは、例えば土地を購入した際、土地の登記簿に所有者として名前を記載する手続き。
もし登記簿に名前を記載していないと、他人が「自分のものだ!」と主張したときに自分のものであると証明できない可能性があります。
そのような例はほとんどありませんが、そうならないためにも不動産登記が必要です。
売買での不動産登記は下記の書類が必要になります。
- 住民票
- 資格証明書
- 登記原因証明情報
- 取締役会議事録(会社と取締役の利益相反が必要な時)
- 登記原因証明情報
- 所有権
- 登記済証
- 資格証明書(権利者が会社の場合)
- 固定資産評価証明書
- 委任状
司法書士でなくても、登記申請を行うことはできます。しかし、多くの書類が必要で複雑なため、ほとんどは司法書士を頼ります。
商業登記
企業法務業務も司法書士業務です。
企業法務業務とは、例えば会社設立時に商号(社名)・役員情報・資本金額などを法務協で登録する手続きです。この手続きを行っていないと、会社として認められません。
登記業務は主に下記です。
- 会社設立
- 本店移転
- 役員変更
- 解散
また、単に登記するだけの業務にとどまらず、企業法務の分野を専門とする仕事もあります。
- 対処法務(企業経営で起こった法的なトラブルを処理するための法律業務)
- 予防法務(法的トラブルが発生しないような仕組み作りなど)
- 戦略法務(企業の意思決定に関する法律業務。M&Aなど)
上記のような内容の相談を受け企業へ助言が行えます。
司法書士が行う登記業務の1日の流れ
登記をメインに行う司法書士は、登記申請に必要な書類を作成するだけではなく、銀行や法務局に申請手続きに行く必要があります。
だいたい17時までにはどちらも閉まってしまうため、午前中や早い時間帯に外回りをして、帰ってきてからデスクワークに取り掛かる司法書士が多いです。
以下は、登記業務メインの司法書士の業務や流れの例です。
【1日の流れ】
9:00 始業(メールのチェックや返信。アポイントの確認などをおこなう。)
10:00 法務局訪問(固定資産評価額証明書を取得するため、窓口に申請。)
12:00 昼食
13:00 クライアント面談
14:30 銀行訪問(不動産売買の所有権移転手続きをおこなう。)
16:00 デスクワーク(登記申請書類作成をおこなう。)
18:00 退勤
登記メインの司法書士事務所の忙しさ
続いて、登記業務の忙しさについてです。主に不動産登記をおこなっている司法書士の繁忙期は、年度末・四半期の末月で、月末は決済業務が非常に多く多忙になる傾向にあります。
不動産の営業が数字を上げなければならないタイミングと重なります。
不動産登記は、新しく不動産を買ったときや相続するタイミングで必要になるため、不動産の営業が物件を販売すれば、その分司法書士の仕事が増加します。
また、商業登記を多く請け負っている司法書士は、6月に忙しくなる傾向にあります。
役員の変更などは4月の新卒や転職者が落ち着いた6月頃に多いためです。企業の役員変更などの際、登記が必要になるのでそのタイミングで業務が増加します。
登記メインの事務所で働くメリット・デメリット
不動産登記がメインの事務所で働くメリットは、司法書士のメイン業務である不動産登記のスキルを身につけられることです。
司法書士と言えば不動産登記と言われますので、不動産登記に関連するスキルは必須です。
デメリットは、月末になると多忙になる業務の偏りがあること。
それもあって、「ライフワークバランスを大切にしたい」「業務幅を広げたい」という気持ちから、別事務所への転職を検討する方もいらっしゃいます。
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一方で商業登記をメインとしている事務所は、ワークライフバランスが保ちやすいです。商業の場合は取引先が企業になるため、アポイントは日中になるからです。商業登記は、「不動産登記のスキルをすでに身につけている方」「新たな業務を身につけたい方」にもってこいな事務所(業務)です。
デメリットは、司法書士業務の中で一番最初にAI化されると言われていること。そのため商業メインのスキルのみに偏ってしまうと、将来的に仕事が減少してしまう懸念があります。
登記業務に向いている人
登記は正しい情報を登記簿に記載する必要があります。そのため、ミスが許されず、神経を使う業務です。
マメで几帳面、観察眼がするどい方が登記業務には向いているといえます。
また、同じ作業を続けることがあるため忍耐力があり、変化を求めている人よりも安定を求めている方に向いています。
司法書士としてスタートするなら登記メインの事務所がおすすめ
昔から現在に至るまで、司法書士の代名詞と言えば登記業務です。
そのため、まずは不動産登記業務を身につけるため司法書士として初めて働く事務所として、不動産登記をメインとする事務所がおすすめ。事務所の数も多いため、いろいろな求人を検討できます。
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