働きながら司法書士を目指せる理由
冒頭でお話した通り、働きながら司法書士資格の取得は可能です。
その理由は以下です。
受験資格を問われないから
司法試験は受験資格がありますが、司法書士試験の場合は受験資格に一切の制限がありません。
学歴は関係せず、法律知識の有無も問われません。
実際に司法書士として活躍されている方の中には、大学進学していない方もいらっしゃれば、前職が異業種だった方もいらっしゃいます。
受験可能回数に制限がないから
司法試験は「5年以内に3回まで」という制限がありますが、司法書士試験は何回でも受験することができます。
これもまた、働きながら受験しやすい一つの理由です。
補足ですが、合格までの受験回数は平均で4回前後と言われています。
もちろん生活スタイルなどによっては1回で合格する方もいらっしゃれば、10回目でようやく合格というケースもあります。
年齢制限がないから
司法書士試験は年齢制限がありません。
例をあげると、平成31年度(2019年度)の司法書士合格者の最低年齢は20歳、最高年齢は72歳でした。
さまざまな年代の方がチャレンジされています。
働きながら司法書士を目指している割合
平成31年度(2019年度)の司法書士合格者の平均年齢は、40歳を超えています。
正確な割合は出せませんが、このことから、働き盛り真っ只中な世代の方が司法書士試験の受験者の多くを占めていると言えるでしょう。
司法書士試験は数ある国家資格の中でも難関(合格率3%~4%)ですが、多くの方が働きながら資格取得をされています。
ただ、試験前の数ヶ月間は追い上げや追い込みのために専業で試験対策を行う方も多いです。
働きながら目指すことのメリットやデメリット
次に、働きながら司法書士資格を目指すことのメリットやデメリットをまとめます。
メリット1:資格取得後の転職が有利になる
最初のメリットは、司法書士資格を取得した後の就職・転職活動は、社会人経験があると有利に働くことです。
- ビジネスマナー
- 取引先やお客様との折衝力
社会人経験があれば、上のようなスキルは最低限身についていると自然に理解されるからです。
ちなみに、高校や大学の卒業後、時間が経過していればしているほど社会人経験の有無や濃さは転職活動に影響します。
正社員に限らず契約社員、派遣社員、アルバイトなどすべてが社会人経験としてみなされるため、ある程度のキャリアや経歴を積んでいくことも大切だと言えます。
メリット2:金銭的余裕ができる
二つ目のメリットは、金銭的余裕ができることです。
資格勉強をする際、人によっては教材費がかかります。
テキストの購入だけでなく、通信講座や塾に通う場合は費用がさらに大きくなります。
また、司法書士試験合格後に受ける必要がある研修があり、約10万円弱かかります。
そのためお金を稼ぎながら資格取得の必要経費にあてる方も多いです。
デメリット1:学習時間の確保が難しい
次にデメリットですが、一つ目のデメリットに「学習時間の確保が難しくなる」ことが挙げられます。
司法書士試験合格に必要な勉強時間は約3000時間と言われています。
例えば専業受験生が1年前からスタートした場合、1日約8時間~9時間の勉強時間を確保すると3000時間に到達します。
一方で本業を兼務しながら受験する場合は1日に確保できる勉強時間は4時間と仮定すると、専業受験生の約2倍(つまり2年間)はかかると言えるでしょう。
デメリット2:本業による支障が出る
本業での人間関係や仕事の疲れ、ストレスなどは常に生じます。
その中で勉強を継続することは決して容易くはないでしょう。
勉強量や知識量を培う必要がある一方で、精神力や忍耐力も求められることになります。
司法書士資格を持つことの強みやメリット
続いて、司法書士資格の強みを解説します。
司法書士資格をこれから目指そうとしている方は、下記を参考にすることで、目指すべきかどうかの判断がしやすくなるはずです。
転職しやすくなる
司法書士資格を持っているだけで、司法書士事務所から非常に重宝されます。
資格があれば全国どこでも転職できる、と言っても過言ではありません。
また、経験者の有資格者は重宝されるため、経験があれば50代や60代の方でも問題なく転職できます。
それくらい司法書士資格は転職市場において強いのです。
独立開業が比較的しやすい
司法書士は他の資格と比較すると、独立開業がしやすいです。
必要になるものはあまり多くなく、開業場所が限定されることもありません。
自宅開業も可能なので、基本的な設備(PC、FAX、電話、複合機など)があれば開業できます。
女性でも活躍しやすい
近年では、産休や育休が取得可能な事務所が増えてきています。
結婚や出産で退職することになったとしても、数年後に復帰される方は多数いらっしゃいます。
定年がない
司法書士資格に定年はありません。
一生続けられる仕事です。
65歳以上で活躍している先生が多いのも特徴です。
実際に働きながら合格した方がやっていたこと
働きながら資格取得するのは決して簡単ではありません。
なのでここからは、働きながら合格した方が実際にやっていたことをまとめます。
勉強法や時間の使い方など、参考になる部分があるはずです。
隙間時間を上手く使う
隙間時間を活用して合格したという方がいらっしゃいました。
- 早起きして朝1時間だけ勉強時間を確保する
- 往復の通勤電車の中で参考書を読む
- 昼食の休憩時間に勉強する
など、勉強に取り組める時間を捻出し、上手く活用しながら合格したそうです。
ハードワークな職場を避ける
勉強時間を確保するために、なるべく残業がない職場を選んだ方がいらっしゃいました。
本業で体力が奪われすぎると、帰宅後や休日は体力回復に時間が費やされ、勉強することが難しくなってしまいます。
睡眠時間を十分に取る
睡眠時間を意識して取ったという方がいらっしゃいました。
兼業だとどうしても夜に無理をしてしまいがち。
睡眠不足は勉強効率を悪化させるようです。
記憶の定着は睡眠中に行われるからです。
その方は、「土日は夜更かしをしても良い日」「平日は6時間の睡眠を取る」と決め、勉強を継続していたようでした。
週末は携帯の電源をOFFにする
週末は携帯の電源OFFを徹底していた方がいらっしゃいました。
週末は勉強時間を大きく確保できるタイミングであるため、誘惑を断ち切るような環境を作っていたとのこと。
中でもスマホは時間を奪われやすいので、電源を切って学問に集中していたようでした。
働きながら合格した実際のエピソードや合格体験記
ここからは、兼業で合格した実際のエピソードを掲載します。
男性・30代・元公務員の方の合格体験記(受験回数4回)
大学卒業から公務員として長年勤務していました。 |
女性・30代・元補助者の方の合格体験記(受験回数9回)
司法書士事務所で補助者として勤務しながら |
司法書士事務所で働きながら資格取得を目指すことについて
よく、司法書士資格を目指そうとしている方々から
「働きながら目指すなら、司法書士事務所で働きながら勉強した方がいいですか?」
と聞かれることがあります。
※資格がなくても、「司法書士補助者」として司法書士事務所で働けるのです。
結論から言うと「どちらとも言えない」です。
司法書士事務所で働きながら資格取得を目指すのは、メリットとデメリットが存在するからです。
そこで下記にメリットとデメリットをまとめるので、参考にした上で判断すると良いでしょう。
メリット1:受験生に寛容
まずは、司法書士事務所で働きながら資格取得を目指すメリット一つ目。
一つ目は、「司法書士受験生には理解があり、配慮してもらえること」です。
例えば、
- 残業時間を減らしてもらえる
- 試験1~2ヶ月前に試験前休暇がもらえる
など、一般企業にはないような待遇を受けることができる場合があります。
メリット2:資格取得後のキャリアに有利
メリット二つ目は、資格取得後の就職や転職活動が有利になることです。
司法書士補助者としての経験があれば、即独立もしやすく、さらに1年目から支店長クラスのポジションを与えてもらえることもあります。
また、初年度の年収は300万円~350万円が相場ですが、補助者としての経験があれば400万円以上の待遇が受けられることも。
野心のある方や早々に独立したいという方などは、司法書士補助者として勤務しておくとメリットが多いかもしれません。
メリット3:業界の動向を把握できる
三つ目のメリットは、業界の動向を把握できること。
いざ合格しても「自分はどの事務所を選べば良いんだろう」「どの事務所に転職すべきか分からない」など、不安を抱える方が結構多いです。
関連記事
司法書士補助者として勤務しておくことで一足先に業界の中に入り、世の中にどのような事務所があるのか、今後勤めるならどのような事務所が向いているのかなど、事前にリサーチできます。
そうすることで資格取得後の転職がスムーズに進むはず。
また、司法書士補助者として勤めていた事務所で、そのまま資格者として働くこともよくある事例です。
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デメリット:司法書士の実務経験は試験に有利にならない
「司法書士の実務経験があることで理解が早まる」「司法書士試験に受かりやすくなる」
と思われる方がいらっしゃいますが、試験の点数にはほとんど影響がないと言われています。
確かに登記の申請書や添付書類を触れることができるため、イメージを掴むことは可能です。
ただし、試験は不動産登記や商業登記だけではなく民法、会社法、憲法などさまざまな科目を勉強しなければなりません。
また、司法書士事務所は不動産がメインのところが多いため、試験に有利になる点は不動産登記のほんの一部分のみです。
実際、司法書士合格者の中でも実務経験のない方が多い印象です。
試験に有利になるかもしれないという理由で司法書士補助者になることは、あまり意味がないため推奨しません。
転職エージェントを活用すると就職がさらに有利に
司法書士の就職・転職活動をより有利にするには、転職エージェントを活用することです。
弊社リーガルジョブボードは、司法書士専門の転職エージェントサイトです。
司法書士補助者として働きながら資格取得を目指す方は多数いらっしゃいますので、もし転職をご希望される方はぜひご連絡くださいませ。
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まとめ
以下が本記事のまとめです。
- 大体の方は働きながら司法書士資格を取得している
- 働くなら職場の選び方が重要となる
- 働きながら合格した方はさまざまな工夫をしていた
- 司法書士補助者として働くことは一部メリットがある
- ただし司法書士補助者として働くことで試験に有利になるわけではない