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知財部で働くのに必要な英語力の目安と英語を必要としない業務内容

知財部で働くのに必要な英語力の目安と英語を必要としない業務内容

こんにちは。知財部の転職エージェント「リーガルジョブボード」の三島です。

本記事では「知財部で働く際に英語力が求められる業務と、求められる英語力の目安」について解説します。

具体的には、

  • 企業知財部に英語力が必要な業務
  • 求められる英語レベル(TOEICスコア)
  • 英語力に応じたキャリアの変化

といった内容について触れています。

「企業知財部への転職に興味があるけれど、どれくらいの英語力が求められるのだろう?」

と悩んでいる方は特に必見です。知財部員に求められる英語力が分かれば、企業知財部にキャリアチェンジできるかどうかの判断がつくようになるはずです。

株式会社WILLCO 三島善太
この記事を書いた人
株式会社WILLCO 三島善太
弁理士・特許技術者などの知財や特許職種を専門としたリーガルジョブボード(株式会社WILLCO)の転職エージェント。紹介実績は業界最大級。求人票には載っていない企業・事務所の評判や口コミのお伝え、選考対策やキャリアステップのご相談など多岐に渡り転職支援をさせていただいていますので、お気軽にご連絡ください。

知財部は英語力が「求められる業務」と「求められない業務」が存在する

知財部では、英語力が絶対に求められるわけではありません。その企業が扱う製品や展開する市場などを取り巻く状況、担当する業務によって、知財部の英語力の必要性は大きく異なるからです。

英語力を必要とする企業知財部(企業)の割合は、約半分程度の割合です。実際、弊社リーガルジョブボードに掲載されている知財部求人の約半分が「英語力を求める」という募集要項が記載されています。

逆に言えば、英語力を必要としない企業も半分は存在しているということです。

よって結論としては、「英語力がないからと言って企業知財部には転職できない」とは言い切れません。その企業が所属する業界や取り組む業務内容によって、英語力が求められるかどうかが決まります。

そこで、英語力が求められる企業知財部での仕事は具体的にどんな業務なのかについて解説します。が、そのためには「知財部の業務内容」を前提として理解しておく必要があります。なのでまずは「知財部の業務内容」について解説します。

 

知財部の業務内容とは?

英語力が求められる知財部の業務を説明する前に、知財部の仕事内容について解説します。知財部とは、簡単に言うと「企業の中で知財部は知的財産(特許、意匠、商標、著作権、ノウハウ等)に関する業務を行う部署」です。

知財部が存在する企業は主に「メーカー」企業です。

メーカーの経営企業にとって、「自社の技術開発の成果を特許として権利化し、製品を保護すること
は企業経営の上でも最優先事項」です。この「権利化による製品の保護」が知財部のミッションなのです。

※知的財産を取り扱う仕事は、知財部の他に「弁理士」や「特許技術者」なども存在します。知的財産全体の業務内容や職種について理解を深めたい方は、以下の記事もご覧ください。

知的財産の仕事とは?理系・文系の業務の違いややりがい・キャリアステップを解説!

 

「知財部」と「特許事務所」との違いは?

補足として、同じ知的財産の権利化業務を扱う「特許事務所」との違いについても触れておきます。

企業知財部は、いわゆる上流工程(開発者へのヒアリング・競合調査など)を対応します。権利化のために必要な情報収集を知財部が行うのです。その上で、「特許事務所」に依頼を出願します。

知財部は「権利化のための準備」を進め、「実際に権利化する」役割を担うのが特許事務所なのです。

 

英語力が求められる知財部の業務内容

知財部の役割が理解できたところで、「英語力が求められる知財部の業務内容」について解説します。

所属する企業が「海外で自社製品の製造・販売を行っていたり、海外拠点を持っていたりする」場合、その企業知財部は英語力が求められます。英語力が求められる業務内容や場面は下記の通りです。

  • 出願業務
  • 調査業務
  • 中間処理業務
  • 外国人の発明者や代理人との打ち合わせ

いずれの業務も、英語での読み書きが最低限必要です。それぞれどのような業務内容になるのか、詳しく解説します。

 

出願業務

出願業務とは、「発明者に代わって書類作成や調査を行う業務」です。

外国出願の業務を担当する場合は、主にリーディングスキルが求められます。外国出願する際の特許明細書は英語で記載されているからです。

企業知財部の場合は、特許事務所が特許明細書を作成するケースが多いため、明細書作成に必要な翻訳レベルの英語力は必要ありません。

しかし仕上がった出願明細書の内容はチェックしなければいけないため、出願業務では、リーディングを中心とした英語力が必要となります。

 

調査業務

調査業務とは、「出願にあたって必要となる先願調査(他社が先に取得している特許の調査)」等の業務を指します。

調査では、出願業務と同様にリーディングスキルが求められます。外国出願に関する調査を行う際は、国内の調査と同様に国際分類(IPC)やキーワードで検索をすることになるからです。

検索キーワードが英語なので、発明内容をどのように英語表現するのかを調べる際に、英語を活用します。

 

中間処理業務

拒絶理由通知書などが届いた際の、意見書や手続補正書の作成対応を中間処理業務と言います。

中間処理業務では、リーディング及びライティングのスキルが必要です。英語の拒絶引用文献の場合は翻訳して理解し、自社出願内容との比較をしなければならないからです。

特許事務所にて翻訳し、対応案を検討してもらうことも多いですが、企業によっては社内の知財部が対応することもあるため、読み書きのスキルが求められます。

もちろん知らない単語は出てくるので辞書を活用する人も多く、ある程度文章の読み書きができれば徐々に慣れると言えます。

 

外国人発明者や代理人との打ち合わせ

海外に拠点のある企業であれば、外国人開発者と打合せをするケースが出てきます。もしくは外国で権利化する場合、現地代理人(現地の弁理士)と打ち合わせをするケースもあります。

この場合、英語のスピーキングおよびリスニングの能力が必要とされます。外国人担当者を相手に、英語で発明発掘を行い、出願の準備を行わなくてはならないからです。

発明の内容を十分に理解し、さらにその内容を文書化して出願まで結びつける業務のため、かなりの英語力が必要となります。

今まで述べてきた業務とは異なり、直接話をすることになりますので、自社技術や特許に関して英語での会話力が重要となります。

 

知財部で英語力が求められない業務内容

ここまでは、知財部業務の中で英語力が求められるケースを紹介しました。ここからは反対に「知財部でも英語力が求められないケース」について紹介します。

 

自社製品が国内展開のみである企業の知財部

海外には進出しておらず、日本国内のみで自社製品の製造・販売を行っている企業に関しては、英語力を求められることはありません。そもそも英語を必要とする場面がないからです。

求人票や企業HPにて海外進出の旨が記載されていない場合は、基本的に英語力が求められないと考えて良いでしょう。

 

国内への権利化業務を担当する知財部

「国内への権利化業務を担当する知財部の場合」は、英語が求められません。

仮に海外展開している企業の知財部に在籍していたとしても、下記のような場合は、「国内への権利化業務のみを担当」しますので、業務上英語力は必要ありません。

  • 国内出願しか行わない
  • 国内業務部門と国外業務部門とが分かれている
  • 外国人発明者がいない

もし転職したい企業が海外進出しているメーカーでも、「国内への権利化業務」担当の知財部に属するとなれば、英語力が求められることはあまりないと言えるでしょう。

 

知財部に求められる英語力の目安は「TOEIC700点」程度

知財部に求められる英語力の目安は「TOEICは最低限700点以上」です。知財部専門の求人サイト「リーガルジョブボード」も、英語力を必要とする企業の求人票には大体「TOEIC700点以上」の記載があります

ただし、スピーキング能力は不要の場合がほとんどです。基本的に知財部で求められる英語力は「読み書き」が中心だからです。企業知財部の権利化に関する業務において、重要なポイントは「技術への理解」「法制度への理解」。つまり、メーカーの製品に関する説明を英語に翻訳した際、「自社技術が正しく伝わる内容になっているか?」を重点的にチェックするのです。そのため文法的なチェックが大切となります。よってスピーキング能力はあまり必要とされません。

 

知財部員が英語力を養うメリット

知財部に英語力が求められるケース・求められないケースについて解説してきましたが、そうすると次に疑問になるのは「結局、英語力はあった方が良いのかどうか」という点です。

結論から申し上げますと、知財部員として働くのなら英語力があった方が良いとは思います(もちろん必須ではありません)。ここからは、実際に知財部のキャリア支援を行っている私が、「知財部員が英語力を身につけるメリット」について解説します

 

業務の幅が広がりキャリアアップに繋がる

英語力がある知財部員は、キャリアアップに繋がりやすくなります。

例えば現在は「国内の案件のみを担当している場合」でも、英語力があれば国内だけでなく「外国出願」も担当できるようになります。外国出願業務を担当すると、出願ルート(PCT・パリ条約)の違いなどもあり、国内だけの業務をやっているより、より多くの知識や経験を得ることができます。

また所属の企業が日本国内でのみ展開している場合でも、グローバル化が進んだ世の中ですから、今後海外展開したいという話も出てくる場合があります。さらに言えば、海外進出の際に外国出願業務を担当し、会社に貢献できるようになれば、社内での評価も高まるでしょう。

英語力を用いて業務の幅を広げることで、キャリアアップに繋がるのです。

 

応募可能な求人が格段に増える

英語力は転職活動の際にも大きくプラスに働きます。理由は下記の2つです。

  • グローバル化が進みどんな企業でも英語力を備えている人材は非常に重宝されるから
  • 英語力を持っていることで求人応募できる企業数が格段に増えるから

また、知財部で英語力を必要とする企業は、海外展開をしている大手企業に多い傾向にあります。そのため英語力があれば、大手企業に転職できる可能性がグッと高くなると言えます。

 

知財部に必要な英語力を身につける方法

最後に、知財部に求められる英語力の身につけ方についてご紹介します。

 

TOEICの勉強をする

採用選考基準としてTOEICの点数で英語力を判断している企業が多いです。まずはTOEICの勉強をしておくことをおすすめします。

TOEICは知財に関わらず、ビジネスの場や日常生活で活用できる会話や文章でのやりとりといった英語能力を測るためのテストです。

TOEICについては沢山の参考書が販売されていますので、ご自身の好みの参考書を選び勉強するのが良いでしょう。

 

外国出願に関する経験/英語を使った業務経験を積む

現在、特許事務所などに在籍している方であれば、外国出願に関する経験を自ら積極的に行うのが良いでしょう。

弊社で扱っている求人によくみられる応募要件の中には、下記のような要件の記載があります。

  • 英文メールでのメールの作成・明細書読解が可能な英語力
  • TOEIC700点以上あるいは同等の英語力
  • 海外クライアントとのやりとりのご経験
  • 英文の契約書の作成のご経験

企業知財部に在籍していなくても、今在籍している環境で英語を使った実務に積極的にチャレンジし、経験をアピールできるようにしましょう。

 

まとめ

知財部において「英語力は持っているとメリットが多い」です。

TOEIC高得点でなくても、ビジネス英語が多少できると、社内での昇格や海外勤務、転職時にも有利となります。

しかし、英語を必ずしも必要としない

  • 国内出願しか行わない
  • 国内業務部門と国外業務部門とが分かれている
  • 外国人発明者がいない
  • 海外拠点がない・国内のみの展開

上記のような企業などもありますので、

英語に自信がなくても企業知財部へのチャレンジは可能です。

株式会社WILLCO 三島善太
この記事を書いた人
株式会社WILLCO 三島善太
弁理士・特許技術者などの知財や特許職種を専門としたリーガルジョブボード(株式会社WILLCO)の転職エージェント。紹介実績は業界最大級。求人票には載っていない企業・事務所の評判や口コミのお伝え、選考対策やキャリアステップのご相談など多岐に渡り転職支援をさせていただいていますので、お気軽にご連絡ください。